「また、来てしまったか」これが今回、モスクワに着いたときに思ったことである。去年の今頃も、準備委員会として、モスクワにいた私にとって、今回は二回目の訪ソであった。特にソ連が大好き、との理由もなく、二回も訪ソした私にとっては、当たり前の思いなのであった。しかし、この思いは帰国間際までに大きく変わることになる。
初日から、ソ連側の温かい歓迎ぶりには、とても驚かされた。物が無い、と聞かされていた上に、去年の粗末な食事の経験から(2022年追記:このような表現をお詫びします)、私はもっと質素な対応を想像していた。ところが、思ったよりも上等な夕食の後には、ケーキやクッキーがたくさん用意されていた。そんな物質的なことより、何より、彼らの心配りは感激することばかりであった。ホームステイの際には、一番上等な部屋とベッドを用意してくれたことが忘れられない。別れるとき、自分の一番大切なものを、と言って小さな聖母子像のペンダントをくれたことも、また忘れられない思い出である。とてもよく準備されたスケジュールは、私たちにとっては、かなりハードではあったが、短い滞在中にできるだけ多くの体験を、という彼らのやさしい思いやりだったのだと思う。
全体的に見て、日本側が考えていた内容とは、かなり大きなズレが生じてしまったが、それは、これから歩み寄っていく課題となるであろう。第二回日ソ学生会議のあり方が、難しくなってくると思う。
しかし、お互いの信頼を深める、ということについて言えば、第一回日ソ学生会議は大成功だったと言えよう。良い友人を海外に、しかもモスクワに得ることができた喜びは、今回の訪ソを、とても有意義なものにしてくれたと思う。さらに友情を深く、大きくするために、私はモスクワを離れるときに思った。
「また、必ず来よう」と。